急な首の後ろの痛みは要注意?原因・危険なサイン・何科を受診?

急に首の後ろが痛くなって、不安を感じていませんか?「寝違えただけかな?」「どこかにぶつけたかな?」と思う方もいるかもしれませんが、その急な痛みには様々な原因が考えられます。単なる筋肉の疲れや寝違えだけでなく、中には緊急性の高い病気が隠れている可能性もゼロではありません。

この記事では、急な首の後ろの痛みに考えられる原因から、特に注意が必要な危険なサイン、応急処置や対処法、そして何科を受診すべきかまでを詳しく解説します。ご自身の痛みに当てはまるものがないか確認し、適切に対処するための参考にしてください。

急な首の後ろの痛み、考えられる原因とは?

急に首の後ろが痛くなる原因は多岐にわたります。一般的には、筋肉や靭帯の問題が多いですが、神経や血管、あるいは全身の病気が関係していることもあります。主な原因をいくつか見ていきましょう。

筋肉性の痛み(寝違え、筋膜炎など)

急な首の後ろの痛みの原因として最も多いのが、筋肉や筋膜の問題です。

  • 寝違え(急性疼痛性頚部拘縮): 不自然な姿勢で寝たり、長時間同じ姿勢でいたりすることで、首や肩の筋肉や靭帯に負担がかかり、炎症を起こして急な痛みが起こります。特に朝起きたときに痛みを感じることが多いです。首を動かそうとすると痛みが強くなり、動かせる範囲が制限されることもあります。特定の筋肉(例:僧帽筋、板状筋など)が痙攣している場合もあります。
  • 筋膜炎: 筋肉を覆う筋膜が炎症を起こすことで痛みが生じます。使いすぎや、特定の動作の繰り返し、不良姿勢などが原因となることがあります。首の後ろの特定の場所を押すと痛みが強い、という特徴が見られることがあります。
  • 筋肉の使いすぎ・疲労: スポーツや重労働、あるいは長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などで首や肩の筋肉が過度に緊張し、急に痛みを引き起こすことがあります。これは一種の急性的な筋肉痛とも言えます。
  • 寒さや冷え: 首周りが冷えることで筋肉が収縮し、血行が悪くなることで痛みやこわばりが生じることがあります。特に寒い季節や冷房の効いた部屋で起こりやすいです。

これらの筋肉性の痛みは、特定の動きや姿勢で痛みが誘発・悪化することが多く、安静にしたり温めたりすることで比較的早く改善することが多い傾向があります。

神経性の痛み(後頭神経痛など)

神経が刺激されたり圧迫されたりすることで生じる痛みです。

  • 後頭神経痛: 首の後ろから頭の後ろ、時には耳の後ろにかけて走る神経(大後頭神経や小後頭神経など)が、首の筋肉の緊張や圧迫、あるいは炎症などによって刺激されることで起こります。急に電気が走るような「ズキン」「ピリピリ」とした鋭い痛みが特徴で、触れたり、髪をとかしたりするだけで痛むこともあります。痛みが繰り返し起こったり、持続したりする場合もあります。ストレスや疲労、寒さなどが誘因となることがあります。
  • 頚椎症や頚椎椎間板ヘルニア: 頚椎(首の骨)の加齢による変化(変形や椎間板の突出)によって、首から腕や手にかけて伸びる神経が圧迫され、痛みやしびれを引き起こすことがあります。多くは慢性的な経過をたどりますが、急に症状が悪化して強い痛みが現れることもあります。首の後ろの痛みに加えて、肩甲骨周りの痛み、腕や指のしびれ、力が入りにくいといった症状を伴うことがあります。

神経性の痛みは、筋肉痛とは異なり、特定の神経の走行に沿って痛むことが多いのが特徴です。痛みの性質も、鋭く電気が走るような感覚や、焼けるような感覚、チクチクとした感覚など、筋肉痛とは異なる場合があります。

血管性の問題(椎骨動脈解離など)

血管の問題による首の痛みは、命に関わる可能性のある緊急性の高い原因です。

  • 椎骨動脈解離: 首の後ろを通って脳に血液を送る重要な血管である「椎骨動脈」の壁が、何らかの原因(軽微な外傷、急な首の動き、動脈硬化など)で裂けてしまう病気です。突然、今まで経験したことのないような、激しい首の後ろや後頭部の痛みが起こることが特徴です。この痛みは持続的で、姿勢を変えても改善しないことが多いです。痛みに加えて、めまい、吐き気、物が二重に見える、顔や手足のしびれや麻痺、呂律が回らない、意識障害などの神経症状を伴う場合は、脳梗塞やくも膜下出血に進行している可能性があり、非常に危険な状態です。椎骨動脈解離は、見過ごされると脳梗塞を引き起こす可能性があるため、特に注意が必要です。

急な、特に今まで経験したことのないような強い首の痛みが、こうした血管性の問題を示唆している場合があります。このような痛みを感じたら、すぐに医療機関を受診することが非常に重要です。

その他の原因(ストレス、感染症など)

上記以外にも、急な首の痛みを引き起こす原因はいくつかあります。

  • ストレスや緊張型頭痛: 精神的なストレスや過度の緊張によって、首や肩周りの筋肉が持続的に収縮し、痛みを引き起こすことがあります。痛みは「締め付けられるような」「重い」といった表現がされることが多く、後頭部から首筋にかけて痛むことがあります。いわゆる緊張型頭痛の一種で、首の痛みが頭痛と同時に、あるいは先行して現れることがあります。
  • 風邪やインフルエンザなどの感染症: 全身の倦怠感や発熱を伴う感染症にかかると、首周りのリンパ節が腫れたり、全身の筋肉痛の一部として首の痛みが現れたりすることがあります。
  • 髄膜炎: 脳や脊髄を覆う髄膜が炎症を起こす病気です。感染症(細菌やウイルスなど)が原因となることが多く、高熱、激しい頭痛、吐き気・嘔吐とともに、首の後ろが硬くなり、前に曲げられなくなる(項部硬直)のが特徴的な症状です。非常に重篤な病気であり、緊急での治療が必要です。
  • リウマチ性多発筋痛症: 高齢者に多い炎症性の病気で、首、肩、腰、太ももなどの筋肉に痛みやこわばりが現れます。特に朝方に症状が強く出やすいのが特徴です。慶應義塾大学病院 KOMPASによると、肩の痛みが最も多く、次いで首や臀部、太ももに痛みやこわばりがみられます。一般的に症状は左右対称に現れやすく、腕を挙げたり起き上がるなど、動作時に痛みが強くなるのが特徴です。患部の筋肉には押すと痛み(圧痛)がありますが、病気そのものによる筋力低下や筋肉の萎縮はみられません。(

    慶應義塾大学病院 KOMPAS「リウマチ性多発筋痛症」https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000609/を参照)

  • 線維筋痛症: 全身の広い範囲に痛みが慢性的に続く病気ですが、急に強い痛みが現れることもあります。首の後ろも痛みの好発部位の一つです。

このように、急な首の後ろの痛みは様々な原因によって引き起こされます。痛みの性質や、他の症状の有無をよく観察することが、原因を特定し、適切な対処を行う上で重要になります。

特に注意が必要な危険なサインとは?

急な首の後ろの痛みの中で、特に注意が必要なのは、すぐに医療機関での診察が必要となる「危険なサイン」を伴う場合です。これらのサインは、脳梗塞や椎骨動脈解離、髄膜炎といった、命に関わる可能性のある病気の初期症状であることがあります。

脳梗塞や椎骨動脈解離の可能性

椎骨動脈解離は前述したように、首の後ろの血管が裂ける病気で、これが見過ごされると脳に十分な血液が送られなくなり、脳梗塞を引き起こすことがあります。また、首の痛み自体が、脳梗塞の前兆や合併症として現れることもあります。

脳梗塞や椎骨動脈解離が疑われる、特に危険な首の痛みの特徴は以下の通りです。

  • 突然発症した、今まで経験したことのないような激しい痛み
  • 痛みが時間とともに悪化していく
  • 安静にしても痛みが改善しない、あるいは強くなる
  • 痛みが持続的である(寝違えのように特定の動きで痛む、というよりは、常に痛い)

これらの痛みの特徴に加えて、以下のような神経症状が一つでも現れた場合は、緊急性が非常に高いと考えられます。

すぐに病院に行くべき危険な症状リスト

急な首の後ろの痛みに加えて、以下の症状が一つでも現れた場合は、一刻も早く医療機関を受診してください。これらの症状は、脳や神経に重篤な問題が発生している可能性を示唆しています。

危険な症状リスト 考えられる重篤な病気(例)
激しい頭痛を伴う くも膜下出血、脳出血、髄膜炎、椎骨動脈解離
手足のしびれや麻痺 脳梗塞、椎骨動脈解離
顔の片側が歪む 脳梗塞
呂律が回らない、言葉が出にくい 脳梗塞
物が二重に見える、視野が狭くなる 脳梗塞、椎骨動脈解離
めまい、ふらつきがひどい 脳梗塞(特に脳幹・小脳)、椎骨動脈解離
意識がもうろうとする、意識を失う 脳出血、くも膜下出血、脳梗塞
高熱を伴う 髄膜炎
吐き気や嘔吐を繰り返す 脳圧亢進(脳出血、くも膜下出血、髄膜炎)
首が硬くなり、顎を胸につけられない 髄膜炎(項部硬直)

これらの症状が複数同時に現れている場合は、さらに危険性が高まります。
特に、「突然、経験したことのない激しい首の後ろの痛み」に加えて、上記のリストにある神経症状が一つでも見られた場合は、迷わず救急車を呼ぶか、速やかに救急外来を受診してください。時間との勝負となる病気(脳梗塞など)の可能性があるため、様子を見たり、自分で対処しようとしたりするのは非常に危険です。

たとえ痛みが軽くても、これらの危険なサインが認められる場合は、専門医による正確な診断を受けることが最も重要です。

急な首の痛みの種類と特徴

痛みの感じ方や、特定の動作で痛みが増すかどうかは、原因を推測する上で重要な手がかりとなります。急な首の後ろの痛みの主な種類と特徴を見てみましょう。

ズキンと拍動する痛み

心臓の拍動に合わせて「ズキン、ズキン」と痛む、あるいは電気が走るような鋭い痛みが繰り返し起こる場合は、血管や神経の問題が考えられます。

  • 血管性の可能性: 特に後頭部から首筋にかけて、拍動性の痛みが強い場合は、血管性の問題(椎骨動脈解離など)の可能性を考慮する必要があります。前述の危険なサイン(めまい、吐き気、神経症状など)を伴う場合は、緊急性が高いです。
  • 後頭神経痛: 後頭神経痛の痛みは、電気が走るような、あるいは突き刺すような鋭い痛みが特徴です。「ズキン」「ピリピリ」「ガンガン」と表現されることが多く、拍動性とは少し異なりますが、急に強い痛みが現れるという点では類似しています。

押すと痛い、骨の出っ張り付近の痛み

首の後ろの特定の場所、特に頚椎の棘突起(首の骨の出っ張り)の周りや、その近くの筋肉を押すと強い痛みを感じる場合は、筋肉や骨、関節の問題が考えられます。

  • 寝違え・筋膜炎: 炎症を起こしている筋肉や筋膜の部分を押すと圧痛があります。痛む場所が比較的局所的であることが多いです。
  • 頚椎の関節の問題: 頚椎の椎間関節などに炎症や機能障害がある場合、その部分を押すと痛みが誘発されることがあります。
  • 棘突起の痛み: 骨自体に問題がある場合(骨折など)や、その周りの靭帯・筋肉の炎症などが考えられますが、急な強い痛みの原因としては比較的稀です。

首を後ろに反らすと強くなる痛み

首を上に向ける(後ろに反らす)動作で痛みが誘発されたり強くなったりする場合は、頚椎の後ろ側の構造(椎間関節、靭帯、神経など)に問題がある可能性が考えられます。

  • 頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア: 頚椎の変形や椎間板の突出によって、首を反らすことで神経や脊髄が圧迫され、痛みが強くなることがあります。
  • 椎間関節症: 頚椎の椎間関節に炎症がある場合、首を反らす、あるいは横に倒すなどの特定の動きで痛みが誘発されます。
  • 筋肉や靭帯の柔軟性低下: 首の後ろ側の筋肉や靭帯が硬くなっている場合、反らす動作で伸張されて痛むことがあります。

首の付け根の痛み

首と頭蓋骨の境界付近(後頭部の一番下の辺り)の痛みは、様々な原因で起こります。

  • 筋肉の緊張: デスクワークやスマートフォンの見過ぎなどで首の後ろ側の筋肉(特に頭半棘筋や頚板状筋など)が緊張し、首の付け根に痛みを起こすことがあります。緊張型頭痛に伴うことも多い部位です。
  • 後頭神経痛: 後頭神経の出口が首の付け根付近にあるため、後頭神経痛の痛みがこの部分に強く現れることがあります。
  • 椎骨動脈解離: 椎骨動脈は首の付け根付近を通っているため、解離が発生した場合、この部分に強い痛みが現れることがあります。
  • 頚椎の一番上の関節(環椎後頭関節、環軸関節)の問題: これらの関節に炎症や機能障害があると、首の付け根や後頭部に痛みを起こすことがあります。

痛みの種類や特徴を把握することは、適切なセルフケアや、医療機関を受診する際に医師に正確な情報を伝える上で役立ちます。ただし、自己判断は危険な場合があるため、不安な場合は専門医に相談しましょう。

急な首の痛みの応急処置と対処法

危険なサイン(激しい頭痛、神経症状など)がなく、単なる寝違えや筋肉痛が疑われる場合の一般的な応急処置とセルフケアについて解説します。ただし、痛みが強い場合や、原因が不明確な場合は、無理に対処せず医療機関を受診してください。

特に、危険な原因が疑われる場合は、絶対にセルフケアは行わず、すぐに医療機関を受診してください。

安静にする、冷やす・温める判断

  • 安静: 痛む時は無理に動かさず、安静にすることが基本です。特に痛みが強い急性期は、痛む動作を避け、楽な姿勢で過ごしましょう。カラー(頚椎装具)を使用することもありますが、長期間の使用は筋肉を弱らせる可能性があるため、医師の指示に従ってください。
  • 冷やす(アイシング): 急に痛くなった直後や、ズキズキとした炎症性の痛みが強い場合は、患部を冷やすのが効果的です。氷嚢や保冷剤をタオルで包み、1回15分程度、1日数回患部に当ててください。冷やすことで炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。ただし、冷やしすぎは逆効果になることもあります。
  • 温める: 痛みが少し落ち着いてきたり、慢性的で血行不良が原因と思われる痛み(筋肉のこわばりなど)には、温めるのが効果的です。温かいタオルやカイロ、入浴などで首周りを温めると、血行が改善し、筋肉の緊張が和らぎます。ただし、炎症が強い急性期に温めると、かえって痛みが増すことがあるため注意が必要です。冷やすか温めるかは、ご自身の痛みの性質や時期によって判断しましょう。迷う場合は無理に行わず、専門家に相談してください。

セルフケア(ストレッチ、マッサージ)

痛みが少し和らいでから、軽いストレッチやマッサージを試みるのは有効ですが、痛みを我慢して無理に行うと悪化させる可能性があります。

  • 軽いストレッチ: 痛みのない範囲で、ゆっくりと首を前後左右に倒したり、回したりする軽いストレッチを行います。首の筋肉をゆっくりと伸ばすイメージで、反動をつけずに行います。例えば、ゆっくりと顎を胸に近づけたり、耳を肩に近づけたりする動作を数秒キープします。痛みが少しでも出る場合は中止してください。
  • マッサージ: 首の後ろや肩の凝り固まった筋肉を、指の腹で優しく揉むようにマッサージします。強すぎるマッサージはかえって筋肉を傷つける可能性があるため、心地よいと感じる程度の強さで行いましょう。温めながら行うのも効果的です。

市販薬の活用

痛みを一時的に和らげるために、市販の鎮痛剤や湿布薬を使用することも可能です。

  • 内服薬(鎮痛剤): 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが配合された内服薬は、痛みを抑える効果があります。ただし、胃腸への負担などの副作用があるため、用法・用量を守り、短期間の使用にとどめましょう。持病があったり、他の薬を服用していたりする場合は、薬剤師に相談してから使用してください。
  • 外用薬(湿布、塗り薬): 湿布薬や塗り薬は、患部に直接作用し、炎症を抑えたり血行を促進したりする効果が期待できます。「冷感タイプ」は炎症を抑えるのに、「温感タイプ」は血行促進や筋肉のこわばり緩和に用いられます。こちらも使用上の注意をよく読んで使用しましょう。

市販薬はあくまで対症療法であり、痛みの根本原因を解決するものではありません。痛みが続く場合や、悪化する場合は、必ず医療機関を受診して診断を受けるようにしてください。

何科を受診すべき?受診の目安

急な首の後ろの痛みが起こったとき、「何科に行けばいいの?」と迷う方も多いでしょう。痛みの性質や、伴う症状によって受診すべき科は異なります。

緊急性の高い症状の場合

前述の「すぐに病院に行くべき危険な症状リスト」に挙げたような症状(激しい頭痛、手足の麻痺やしびれ、呂律が回らない、めまい、意識障害、高熱など)を伴う場合は、脳や神経系の緊急疾患(脳梗塞、椎骨動脈解離、髄膜炎など)の可能性が高いため、迷わず救急車を呼ぶか、救急外来のある病院(脳神経外科や神経内科のある病院が望ましい)を速やかに受診してください。

痛みが続く・悪化する場合

緊急性の高い症状はないものの、痛みが続く場合や、安静にしても改善しない、徐々に悪化するといった場合は、医療機関を受診して原因を特定することが重要です。

痛みの特徴や疑われる原因 主な受診科 備考
寝違え、筋肉痛、筋膜炎が疑われる場合 整形外科 骨や筋肉、関節、神経の専門家です。画像検査(レントゲン、MRIなど)で原因を特定し、適切な治療(薬、リハビリ、注射など)を行います。
神経痛(後頭神経痛など)が疑われる場合 整形外科、神経内科 神経痛の診断と治療(薬物療法、神経ブロックなど)を行います。
ストレスや頭痛に伴う首の痛みが疑われる場合 内科、脳神経外科、心療内科 緊張型頭痛など、頭痛に伴う首の痛みであれば、頭痛外来のある脳神経外科や神経内科、あるいは内科で相談できます。ストレスが強い場合は心療内科も。
原因がはっきりしない痛み、全身症状(発熱など)を伴う場合 内科、総合診療科 全身の病気の一部として首の痛みが出ている可能性も考えられます。まずは内科などで全身の状態を診てもらい、必要に応じて専門科へ紹介。

受診時には以下の情報を医師に伝えられるように準備しておくとスムーズです。

  • いつから痛みが始まったか(具体的な日時)
  • 痛みのきっかけ(寝方、動作、外傷など)
  • 痛みの場所(首の後ろのどの辺りか、後頭部かなど)
  • 痛みの性質(ズキン、ピリピリ、重い、締め付けられるなど)
  • 痛みの強さ(例:10段階でどれくらいか)
  • 痛みの変化(時間とともに悪化、特定の動きで痛む、安静にすると楽になるなど)
  • 他に症状があるか(頭痛、めまい、吐き気、手足のしびれ・麻痺、発熱など)
  • これまでに首の痛みを経験したことがあるか
  • 既往歴(持病)や内服している薬
  • 普段の生活習慣(仕事内容、運動習慣、睡眠時間、ストレスなど)

正確な診断のためには、医師とのコミュニケーションが非常に重要です。症状について詳しく、正直に伝えるようにしましょう。

急な首の痛みを繰り返さないための予防策

一度急な首の痛みを経験すると、再発しないか不安になるものです。日頃から以下の予防策を心がけることで、首への負担を減らし、痛みの発生リスクを低減することができます。

  • 正しい姿勢を意識する: デスクワークやスマートフォンの操作などで長時間前かがみの姿勢や、首が突き出した姿勢をとらないように注意しましょう。椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばし、パソコンの画面は目線の高さにくるように調整します。スマートフォンは顔の高さで操作するなど、首への負担が少ない姿勢を心がけましょう。
  • 休憩を挟む: 長時間同じ姿勢でいると首や肩の筋肉が緊張します。1時間に1回程度は休憩を取り、軽く首や肩を回したり、立ち上がって歩いたりして体を動かしましょう。
  • 寝具の見直し: 枕の高さや硬さが合っていないと、寝ている間に首に負担がかかり、寝違えの原因となります。仰向け、横向きそれぞれで首の骨が自然なS字カーブを保てるような、自分に合った枕を選びましょう。マットレスの硬さも重要です。
  • 適度な運動やストレッチ: 首や肩周りの筋肉の柔軟性を保ち、血行を促進するために、日頃から適度な運動やストレッチを取り入れましょう。ウォーキングや水泳などの全身運動は、体の血行を良くし、筋肉の緊張を和らげる効果があります。首や肩のストレッチは、入浴後など体が温まっている時に行うと効果的です。
  • 体を冷やさない: 首周りが冷えると筋肉が収縮し、痛みを引き起こしやすくなります。特に寒い時期や冷房の効いた部屋では、マフラーやストールなどで首を温めるようにしましょう。
  • ストレスマネジメント: ストレスは筋肉の緊張を高め、痛みの原因となることがあります。適度な休息、趣味、リラクゼーションなどを取り入れて、日頃からストレスを溜め込まないようにすることも大切です。
  • 定期的な体のケア: 必要に応じて、整体や鍼灸、マッサージなどで体のメンテナンスを行うことも、首周りの筋肉の緊張を緩和し、痛みの予防につながることがあります。

これらの予防策は、急な痛みの予防だけでなく、慢性的な首や肩の凝り、頭痛の改善にもつながります。日々の生活の中で意識して取り組んでみましょう。

まとめ:急な首の後ろの痛みに不安を感じたら専門医へ相談を

急な首の後ろの痛みは、多くの場合、寝違えや筋肉疲労といった比較的軽度な原因によるものですが、中には椎骨動脈解離や脳梗塞、髄膜炎といった緊急性の高い、命に関わる病気のサインである可能性もゼロではありません。

痛みの性質や強さ、そして何よりも「激しい頭痛」「手足のしびれや麻痺」「呂律が回らない」「めまい」「意識障害」「高熱」といった危険なサインがないかを冷静に確認することが非常に重要です。これらの危険なサインが一つでも見られた場合は、迷わず救急車を呼ぶか、速やかに医療機関(脳神経外科や神経内科など)を受診してください。

危険なサインがない場合でも、痛みが強い、安静にしても改善しない、徐々に悪化するといった場合は、自己判断せずに整形外科などで専門医の診察を受けることをお勧めします。早期に原因を特定し、適切な治療を開始することで、痛みの長期化や、より深刻な事態への進行を防ぐことができます。

ご自身の体の声に耳を傾け、不安を感じたら遠慮なく医療機関に相談しましょう。

免責事項:
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を保証するものではありません。個々の症状については、必ず医療機関を受診して医師の診断と指導を受けてください。この記事の情報によって生じたいかなる不利益についても、当方では責任を負いかねます。

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